【遺言書の落とし穴】「長男に全部」で相続トラブル?遺留分と正しい書き方

query_builder 2026/09/14
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【遺言書の落とし穴】

「長男に全部」で相続トラブル?遺留分と正しい書き方

「自分が亡くなった後、子どもたちが相続で揉めないように、遺言書を残しておこう」

そう考える方は少なくありません。

特に、長年暮らしてきた自宅や土地などの不動産を所有している場合、「自分の財産を誰に残すのか」をあらかじめ決めておくことは、相続対策として非常に重要です。

しかし、遺言書は「書いておけば、それだけで相続トラブルを防げる」というものではありません。

例えば、

「長男に全財産を相続させる」

「自宅は長男にすべて譲る」

「次男には何も相続させない」

といった内容の遺言書を作成した場合、かえって相続人同士の争いにつながるケースがあります。

その大きな理由の一つが「遺留分」です。

遺留分とは、一定の相続人に法律上保障されている最低限の相続分のことです。遺言によって特定の人に財産を集中させたとしても、一定の相続人から「遺留分を侵害された」として金銭の支払いを求められる可能性があります。

今回は、姫路で不動産を所有している方にも知っておいていただきたい、遺言書の落とし穴について解説します。


遺言書があれば相続争いは防げる?

まず知っておきたいのは、遺言書は相続トラブルを防ぐために非常に有効な手段だということです。

遺言書がなければ、原則として法律で定められた相続人が話し合い、誰がどの財産を取得するのかを決めることになります。

これが「遺産分割協議」です。

例えば、父親が亡くなり、相続人が長男と次男の2人だったとします。

財産が預貯金だけなら、

「半分ずつにしよう」

と比較的簡単に話がまとまるかもしれません。

しかし、相続財産の中心が自宅などの不動産だった場合は、話が一気に難しくなります。

例えば、

  • 姫路市内の自宅
  • 土地
  • 賃貸アパート
  • 駐車場
  • 山林や農地

などです。

不動産は預貯金のように簡単に半分に分けることができません。

そのため、

「長男が自宅を取得する代わりに、次男には預金を多く渡す」

「不動産を売却して現金で分ける」

など、具体的な調整が必要になります。

だからこそ、遺言書によって財産の分け方を明確にしておくことには大きな意味があります。

法務省も、遺言書には財産の処分や相続分の指定などについて法的な効果があり、家族が財産をめぐって争わないようにすることも遺言書を作成する目的の一つとして案内しています。

ただし、ここで注意したいのが「遺言書の内容」です。


「長男に全財産を相続させる」は大丈夫?

例えば、父親が次のような遺言書を残したとします。

「私の所有する一切の財産を、長男○○に相続させる。」

一見すると、非常に分かりやすい遺言です。

しかし、相続人が長男だけではない場合には注意が必要です。

例えば、相続人が、

  • 長男
  • 次男

だったとしましょう。

この場合、「長男に全財産を相続させる」という遺言があったとしても、妻や次男など一定の相続人には「遺留分」が認められる可能性があります。

遺留分とは、一定の相続人に保障されている最低限の取り分です。

つまり、

「お父さんが遺言書にそう書いたのだから、他の相続人には一円も渡らない」

とは限りません。

遺留分を侵害された相続人は、一定の要件のもとで、財産を多く取得した人に対して金銭の支払いを請求することができます。

この請求が「遺留分侵害額請求」です。家庭裁判所でも、この制度を「一定の相続人に法律上保障された最低限の取り分」である遺留分についての制度として案内しています。

そのため、「長男に全部」という遺言を作る場合には、遺留分について事前に検討しておくことが重要です。


「面倒を見てくれた長男に多く残したい」はよくあるケース

実際の相続では、

「長男がずっと親の面倒を見てくれた」

「同居してくれたのは長男だった」

「病院への付き添いや介護をしてくれた」

「次男は遠方に住んでいて、ほとんど親の面倒を見ていない」

という事情があります。

そのため、

「自分が亡くなったら、長男に多くの財産を残したい」

と考える親御さんがいても不思議ではありません。

そこで、

「長男に自宅を全部相続させる」

という遺言書を作ることがあります。

もちろん、自分の財産をどのように残したいかという意思を遺言書にすること自体は大切です。

問題は、「なぜ長男に多く残すのか」という背景を家族に伝えないまま、突然その遺言書が出てくることです。

例えば、次男が、

「父親が亡くなる直前に長男が勝手に遺言書を書かせたのではないか」

「自分には何も相談がなかった」

「長男だけが得をするのは納得できない」

と感じれば、遺言書の内容そのものだけでなく、遺言書が作成された経緯まで争いになる可能性があります。

だからこそ、遺言書を作成するときには「誰に何を残すのか」だけでなく、「なぜそのようにしたのか」も考えておくことが大切です。


「付言事項」を活用する

そこで活用したいのが、遺言書の「付言事項」です。

付言事項とは、遺言書に記載する、家族へのメッセージや遺言を残す理由などです。

例えば、

「長男には長年、私と同居し、生活の面倒を見てもらいました。そのため、自宅については長男に相続させたいと思います。」

「兄弟で争うことなく、これからも仲良く支え合って生活してほしいと思っています。」

といった内容です。

付言事項そのものが財産の分け方を決める法的な条項というわけではありません。

しかし、遺言者がどのような思いでその遺言を作ったのかを家族に伝える役割があります。

相続では、金額だけではなく「親からどう思われていたのか」という感情が大きな問題になることがあります。

だからこそ、遺言書には財産の指定だけではなく、自分の気持ちを残しておくことも検討してみましょう。


不動産がある家庭ほど遺言書は慎重に

特に注意したいのが、不動産を所有している家庭です。

例えば、相続財産が、

「自宅の土地・建物3,000万円」

「預貯金500万円」

だったとします。

この場合、財産の大半が不動産です。

仮に、

「長男に自宅を相続させる」

という遺言を残した場合、他の相続人に渡せる現金が少なくなります。

すると、

「自宅をもらった長男はいいけれど、自分は何ももらえない」

という不公平感が生まれやすくなります。

さらに、遺留分を考える必要もあります。

不動産は「金額がいくらなのか」という評価の問題もあります。

例えば、親は「この家は1,500万円くらい」と考えていても、実際の市場価格が2,500万円だったということもあります。

反対に、古い建物や立地条件などによって、思ったほど高く売れないケースもあります。

そのため、不動産を相続させる遺言書を作る場合には、所有している不動産の価値をある程度把握しておくことも大切です。


「自宅を長男に相続させる」だけでは不十分?

ここも、遺言書を作るときに注意したいポイントです。

例えば、

「姫路市○○町の自宅を長男に相続させる」

とだけ書いたとします。

これでも意図が伝わる場合はありますが、不動産については、できるだけ正確に特定することが重要です。

土地と建物がある場合には、それぞれを確認する必要があります。

土地の所在地や地番、建物の所在地など、不動産登記の情報を確認しておくとよいでしょう。

また、自宅だけではなく、

  • 土地
  • 賃貸物件
  • 駐車場
  • 山林
  • 農地
  • 共有持分

などがないか、所有している不動産を一度整理しておくことも大切です。

「自宅しか持っていないと思っていたら、昔購入した土地が残っていた」

というケースもあります。

相続対策では、まず「自分が何を持っているのか」を把握することがスタートです。


遺言書の書き方を間違えると「無効」になることも

遺言書は、内容だけでなく「作り方」にも注意が必要です。

特に自筆証書遺言の場合、法律上の要件を満たしていなければ、遺言としての効力が認められない可能性があります。

現在の自筆証書遺言では、原則として遺言書の全文、作成日付、氏名を本人が自書し、押印する必要があります。

また、自書によらない財産目録を添付する場合には、財産目録の各ページに署名・押印するなどのルールがあります。

「パソコンで全部作って印刷し、最後に名前だけ書けばいい」

というわけではありません。

形式を間違えると、せっかく作った遺言書が問題になる可能性があります。

また、形式面だけでなく、「本人が本当にその意思で作成したのか」という点が争われるケースもあります。

法務省の資料でも、自筆証書遺言や公正証書遺言について、遺言を作成した当時に本人に遺言能力があったかどうかが争われるケースがあるとされています。

特に高齢になってから遺言書を作成する場合には、内容だけでなく、作成時期や作成方法についても慎重に考える必要があります。


自筆証書遺言と公正証書遺言、どちらがいい?

遺言書にはいくつかの方式がありますが、一般的に利用されるのが「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」です。

自筆証書遺言は、自分で作成できるため、費用を抑えやすく、比較的自由に作れるというメリットがあります。

一方で、法律上の要件を自分で確認しなければならず、内容についても自分で考える必要があります。

公正証書遺言は、公証人が関与して作成します。

2人以上の証人が立ち会い、公証人が内容を確認しながら作成するため、自筆証書遺言と比べて形式面などでのリスクを抑えやすいのが特徴です。公正証書遺言の原本は公証役場で保管され、家庭裁判所での検認も不要です。

ただし、公正証書遺言だから「絶対に相続トラブルが起きない」というわけではありません。

例えば、遺留分の問題が残っていれば、遺留分侵害額請求につながる可能性があります。

そのため、

「公正証書遺言を作ったから安心」

ではなく、

「家族関係や財産内容まで考えたうえで、適切な遺言書を作ったから安心」

と考えることが大切です。


自筆証書遺言なら法務局の保管制度もある

自分で作成した自筆証書遺言を自宅で保管することに不安がある場合には、法務局の「自筆証書遺言書保管制度」を利用する方法があります。

この制度では、自筆証書遺言を法務局で保管してもらうことができます。

保管された遺言書は紛失や改ざんなどのリスクを抑えることができ、一定の場合には相続人等へ遺言書が保管されていることを通知する制度もあります。

また、法務局に保管された自筆証書遺言については、家庭裁判所での検認が不要です。

ただし、法務局が遺言の内容について「この分け方なら相続トラブルにならない」といった法律相談をしてくれるわけではありません。

つまり、

「形式面や保管の安心」

「相続人同士のトラブルを防ぐための内容」

は別に考える必要があります。


「不動産を売却して分ける」という選択肢もある

不動産を相続するときには、必ずしも「誰か一人がその不動産を持つ」必要はありません。

例えば、

「自宅を売却し、その売却代金を相続人で分ける」

という方法もあります。

いわゆる「換価分割」です。

例えば、姫路市内の実家を相続したものの、誰も住む予定がないのであれば、無理に誰かが取得するより、不動産売却によって現金化したほうが分けやすい場合があります。

ただし、不動産売却にも、

  • 売却価格
  • 仲介手数料
  • 測量
  • 解体
  • 境界
  • 税金
  • 売却までの期間

など、さまざまな問題があります。

特に相続後に兄弟で売却する場合、

「もっと高く売れるまで待ちたい」

「早く売って現金化したい」

「この不動産会社に頼みたい」

など、意見が分かれることがあります。

だからこそ、遺言書を作成するときには「誰に相続させるか」だけでなく、「その不動産を将来どうするのか」まで考えておくと安心です。

姫路で不動産を所有している方の場合も、現在の不動産価値や売却した場合の価格を把握しておくことは、相続対策の一つになります。


遺言書を作る前に確認しておきたい5つのこと

遺言書を作成する前に、次の5つを確認してみましょう。

① 相続人を確認する

まず、誰が相続人になるのかを確認します。

配偶者、子ども、場合によっては親など、家族構成によって相続関係は変わります。

「子どもがいるから子どもだけが相続人」

とは限りません。


② 財産を一覧にする

預貯金だけでなく、不動産、株式、保険、車など、自分が所有している財産を整理します。

特に不動産は、所在地や地番、土地・建物の所有関係まで確認しておきましょう。


③ 不動産の価値を把握する

自宅や土地がある場合は、現在どのくらいの価値があるのかを把握しておきます。

相続財産の大部分を不動産が占める場合、遺留分や他の相続人への配慮を考えるうえでも重要です。


④ 遺留分を確認する

「この子には一切財産を渡したくない」

「長男に全部相続させたい」

という希望がある場合は、遺留分について確認しておきましょう。

遺留分を無視した遺言書を作っても、その後のトラブルを完全に防ぐことにはなりません。


⑤ 家族に伝える方法を考える

遺言書の内容をどこまで家族に伝えるかも考えておきましょう。

すべてを事前に伝える必要があるとは限りません。

ただし、財産を大きく偏らせる場合には、その理由を家族に伝えておくことで、相続開始後の感情的な対立を減らせる可能性があります。


姫路で相続を考えるなら「不動産の整理」から

姫路でも、親から実家や土地を相続するケースは珍しくありません。

しかし、相続した不動産をどうするかについては、

「自分は住まない」

「遠方に住んでいる」

「兄弟の誰も住む予定がない」

「維持管理が大変」

という問題が出てくることがあります。

その場合には、不動産売却という選択肢も考える必要があります。

特に空き家になった実家は、管理や固定資産税などの負担だけでなく、建物の老朽化や近隣への影響なども考えなければなりません。

相続してから慌てて考えるのではなく、生前から、

「この家を誰が相続するのか」

「誰も住まないなら売却するのか」

「売却した場合、現金をどう分けるのか」

まで考えておくと、相続後の手続きがスムーズになります。


遺言書は「財産を分ける紙」ではなく「家族への最後の意思表示」

遺言書というと、

「誰にいくら渡すのか」

だけを考えてしまいがちです。

しかし、本当に大切なのは、

「なぜ、このように財産を分けたいのか」

という部分です。

例えば、長男に自宅を残したいのであれば、

「長男に全部」

とだけ書くのではなく、なぜそのように考えたのかを整理しておく。

必要であれば、付言事項として家族への思いを残す。

そして、遺留分についても事前に確認する。

不動産が中心の相続なら、不動産の価値や将来的な不動産売却まで考えておく。

こうした準備が、相続トラブルを防ぐためには重要です。


まとめ|「遺言書を書いたから安心」ではなく、内容まで考える

遺言書は、相続を円滑に進めるための重要な準備です。

特に、不動産を所有している場合は、遺言書があることで誰がどの不動産を相続するのかを明確にできるというメリットがあります。

一方で、

「長男に全財産を相続させる」

「次男には何も渡さない」

といった内容にすると、遺留分をめぐる問題が起きる可能性があります。

また、自筆証書遺言の場合には、法律上の形式を守らなければならず、内容だけでなく作成方法にも注意が必要です。

姫路で不動産を所有している方が相続について考える場合には、

「誰に相続させるか」

だけではなく、

「不動産をどうするのか」

「他の相続人にどう配慮するのか」

「遺留分に問題はないか」

「将来的に不動産売却が必要にならないか」

まで含めて考えておくことが大切です。

「家族が揉めないように」と思って作った遺言書が、逆に家族の争いのきっかけになってしまっては意味がありません。

遺言書は、単に財産を分けるための書類ではありません。

残された家族に、自分の最後の意思を伝えるための大切な手段です。

だからこそ、財産の内容が複雑な場合や、不動産を複数所有している場合、特定の相続人に財産を集中させたい場合などは、早めに専門家へ相談しながら準備することをおすすめします。

姫路で相続した不動産について「このまま所有するべきか」「売却したほうがいいのか」と迷っている場合も、相続の手続きだけでなく、不動産そのものの価値や将来の活用方法まで含めて考えることが重要です。

「まだ元気だから大丈夫」ではなく、元気なうちに準備する。

それが、家族の相続トラブルを防ぐための第一歩です。

※本記事は相続・遺言・不動産売却に関する一般的な情報を提供するもので、個別の法律・税務上の助言を目的とするものではありません。具体的な遺言書の作成や遺留分、相続税などについては、弁護士・司法書士・税理士・公証人などの専門家へご相談ください。


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